導入事例

戸田建設株式会社様

BANKEN FACE×タブレット入坑/入場中管理を活用し
セキュリティエリアへの入退場手続きを効率化

2020年よりBuildeeの3サービスを全社展開している戸田建設では、厳重に管理された敷地内で工事を施工するにあたり、BANKEN FACE×タブレット入坑/入場中管理を活用し、入退場手続きの一部をシステム化しました。これにより、敷地内への入退場手続きを行っていた警備員の負担が軽減されるとともに、要する時間も短縮されました。

導入前の課題

セキュリティエリアへの入退場手続き効率化が課題

1881年創業、140年以上の歴史を持つ総合建設企業の戸田建設。建築事業では、医療・福祉施設、大学等の学校施設、都心の超高層ビル建設に強みを持ち、土木事業では空港や高速道路、山岳トンネル、災害復興などを手掛けてきました。新規事業としては日本初の浮体式洋上風力発電といった再生可能エネルギー事業などにも進出しています。

同社はデジタル化への取り組みも積極的に行っており、作業所業務の負担軽減や生産性向上を目的に、2019年にBuildee調整会議を導入、2020年には労務安全・入退場管理を加えた3つのサービスを全社展開しました。また、BANKEN FACEによる顔認証での入退場管理を徹底することでCCUSの利用促進につなげ、建設技能者の処遇改善や建設業の魅力向上に取り組んでいます。

今回ご紹介する事例は、厳重に入退場管理がなされている発注者の敷地(以後 セキュリティエリアと呼称)内の一区画で、新たな建物を新築する工事についてです。この作業所では、通常の作業所入退場管理に加え、セキュリティエリア内へ立ち入る為の入退場手続きをしなければならないという課題に直面しました。

この工事の担当作業所長である平岡佳樹氏は、次のように語ります。

「当作業所の工事範囲に行くためには、セキュリティエリア入場口での厳格な手続きが必要です。工事関係者や作業員だけでなく、資機材を運送する車両の運転手や宅配業者などを含めた全ての人が、セキュリティエリアへの入場時に守衛所で手続きを行います。(敷地状況イメージ図参照)
警備の方に身分証を提示し、氏名や入退場時刻を記入、バッジを受け取るなどの一連の手続きは、慣れていても1人につき1分程度の時間を要します。普段は問題のない手続きですが、作業員や運転手の入場が集中する始業開始前の時間帯は行列ができてしまいます。この混雑が酷くなれば、工事関係者以外の入場者や近隣住民の方などにも迷惑をかけることになり、また、始業時間の遅れにもつながりかねません。工事の工程が進めば、作業員は1日あたり最大約400人になることが見込まれるため、入退場手続きの効率化が必要と感じていました。」

導入の経緯

発注者や警備の方との調整を重ね
入場中管理システムを導入

こうした課題に対し、リバスタはBANKEN FACE×タブレット入坑/入場中管理(以下、入場中管理システムと呼称)を提案しました。このサービスはBANKEN FACEと、専用ソフト搭載のタブレット端末、専用クラウドを組み合わせたシステムです。
BANKEN FACEは、Buildeeに登録してある作業員の顔写真と、認証した顔を突合することで、入退場した個人を特定すると同時に、その時刻を履歴として保存。タブレット端末では、入場中の作業員の顔写真と氏名を一覧で表示することで「今、誰が現場内にいるのか」をリアルタイムで把握することができ、トンネル工事等での安全管理に加え、今回の現場のような警備を目的とした入場管理にも役立ちます。

「セキュリティエリアへの入退場管理に、従来のBANKEN FACEが活用できるのではないかと検討しましたが、BANKEN FACE単体では発注者の要望を満たすことはできませんでした。それに対し入場中管理システムなら活用できるのではないかと考え、試してみることにしました。」と、平岡所長は振り返ります。

しかし、今回の導入は、戸田建設が管理する作業所への入退場管理が目的ではなく、発注者が管理するセキュリティエリアへの入退場管理が目的です。警備の方が行う管理業務の内、工事関係者の入退場管理をシステム化する為、発注者―戸田建設両者間での綿密な打ち合わせが必要でした。

「発注者に対して、何度もプレゼンを行い、疑問点に回答したり解決策を示すなどして、少しずつ理解を深めていただきました。そして2023年8月末に守衛所の隣に機材を設置、9月から試験運用を始めました。試験運用では、従来の紙の名簿による手続きと併用しながら、入場中管理システムの使い勝手や顔認証の確実性など、機能の確認を進めました。同時に、発注者が求めるセキュリティ要件を満たせるか、警備の方が問題なく使えるかなど、さまざまな検証を重ねました。そして、2024年2月から正式に運用を開始しました。」(平岡所長)

導入効果

リバスタや協力会社の協力もあり運用は安定
入退場手続の所要時間を大幅に短縮

平岡所長は「正式な運用に至るまでに、リバスタにも機能のアップデートやカスタマイズなどを対応してもらいました。また協力会社の方たちには、他の作業所よりも厳重な警備が必要であることを説明し、BuildeeやCCUSへの就業履歴蓄積を目的とした顔認証とは別に、セキュリティエリアへの入退場時にもセキュリティ管理を目的とした顔認証を必ず行うよう協力していただいています。」と話します。

工事現場に出入りする協力会社の作業員については、戸田建設が発注者に事前提出した名簿を使い入退場手続きを行いますが、もし名簿に記載がない人が入場する場合は、戸田建設の職員が手続きに同伴する必要があります。名簿は毎月提出する規定となっており、工事の進捗に応じて内容を更新していかなければなりません。また、入場中管理システムの利用においても、氏名や顔写真の事前登録が必要です。本システムの運用を担当する大島一弥氏は、以下のように話しています。

「当作業所では、これまでもBuildeeに作業員情報や顔写真の登録を進めてきましたが、運転手などの作業に直接携わらない人や、設備工事などの別途工事会社は登録していませんでした。今回、入場中管理システムの導入にあたり、そうした方たちは、それぞれ非常駐入場者や別途業者という扱いでBuildeeの現場体制に登録し、入退場の手続きを運用しています。機材故障など万一の事態に備えるため、現在も紙に印刷した名簿を毎月提出していますが、Buildeeに登録された情報を、発注者が指定する書式に整えるだけなので、簡単に作成できます。」

「大きく変わったのは、やはり入退場の手続きに要する時間です。顔認証による入退場手続きは体感でいうと2~3秒で済み、守衛所で氏名や時刻を記入する必要がなくなったため手続きが格段に楽になりました。特に日本語の読み書きが不得手な海外出身の作業員にとっては、精神的な負担軽減にもつながったと感じています」(平岡所長)
こうした工夫もあり、入場中管理システムの導入により、入退場手続きの時間短縮や負担軽減などの効果が得られました。

今後の展望

さらなる利便性の向上に期待
類似現場に対する提案の前例にも

平岡所長は今後の運用について「入場中管理システムはより仕組みとしては完成しており、利用者が求める水準に合えば活用できるシステムです。一方で、夏場の暑さや環境による機材トラブルの懸念、入場者がさらに増加しても支障なく運用し続けられるかなど、若干の懸案は残っています。今後は、想定されるトラブルやリスクに対しどう備えるか、といった観点での改善が求められるでしょう。それらをクリアして当作業所での活用が成功事例となれば、他の作業所でも活用できる可能性が広がります。」

戸田建設では、BuildeeやBANKENシリーズの活用により、CCUSとの連携促進、作業実績や入退場実績の分析など、データ連携による情報の活用や業務の効率化を図っています。3つのサービスの利用を標準化したことで、書類管理をはじめ、作業所に常駐せずに対応できる業務が増え、作業所職員の業務負担削減につながっていると評価しています。今回の事例についても、今後、類似の作業所での活用が期待できると考えています。

一方、リバスタに対し入場中管理システムの改良を期待したい点もあると平岡所長は話します。

「当作業所は、万が一手続きをせずに退場した人がいた場合には、呼び戻して退場手続きをしてもらうことになります。警備の方は退出していない人を本システムのタブレット端末で把握できますし、我々も事務所のパソコンからチェックしていますが、気付くのが遅れると大変です。そのため、スマートフォンからでも確認できるようにしたり、設定した時刻に退場していない人がいる場合にはプッシュ通知するなどの機能があれば、発見が早くなり、より便利に利用できます。当作業所は工期が長いので、様々な機能を拡充させて、テストケースとして役立ててほしいと思います。」

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ユーザー概要

社名 戸田建設株式会社
URL https://www.toda.co.jp/
事業内容 建築・土木・不動産・エネルギー
所在地 東京都中央区八丁堀二丁目8番5号
創業 1881年
代表取締役社長 大谷清介
資本金 230億円(2024年3月31日現在)
売上高 5224億円(2024年3月期)

インタビューご担当者様

戸田建設株式会社
東京支店 建築工事1部 作業所長
平岡佳樹氏
戸田建設株式会社
東京支店 建築管理部
大島一弥氏